パネリストプロフィール 久保 はるな (くぼ はるな) 千葉県出身 2002年 早稲田大学政治経済学部卒業 2007年 弁護士登録(東京弁護士会) 第一中央法律事務所入所 2010から2018年 筑波技術大学非常勤講師 2020年から 日弁連人権擁護委員会障がいを理由とする差別禁止法制に関する特別部会特別委嘱委員 田門 浩 (たもん ひろし) 福島県出身 1990年 東京大学卒業 2003年から2004年  ギャローデット大学(米国Washington, D.C.)留学 1998年弁護士登録   東京弁護士会 2002年から2003年  関東弁護士連合会関東弁護士連合会人権擁護委員会副委員長 2005年 1月から現在 日本弁護士連合会人権擁護委員会障がいを理由とする差別禁止法制に関する特別部会委員 2008年 4月から2008年 9月  厚生労働省聴覚障害者の情報コミュニケーション支援のあり方勉強会構成員 2014年 1月から2016年 1月  内閣府障害者差別解消支援地域協議会の在り方検討会構成員 著書 2023年4月 「ビジネスと人権」と障害者権利条約 NBL1239号 2018年2月 聴覚障がい弁護士と障害者差別解消法 自由と正義69かん2号 パネリスト自己紹介 スライド1 自己紹介など 弁護士 田門 浩 スライド2 自己紹介 うまれつき耳が聞こえない。全くといって良いほど聴力が無い 2歳ぐらいのときに、音声に反応しないのを親が不思議に思って医師に診せて、初めて耳が聞こえないことがわかった 2歳から15歳まで、ろう学校(耳が聞こえない子どもを集めて専門的に教育を行う場)にかよった ろう学校では、子ども同士は手話を使ってコミュニケーションを取っていた。私も他の子どもから教えてもらって手話を覚えた。 私にとっては、手話が一番自分に合うコミュニケーション方法 スライド3 耳の聞こえない人のコミュニケーション方法 ・一人ひとり異なる。 ・手話、文字、こうわ ・日本語と同じ語順の手話 と 日本語と異なる語順の手話   「会社の名前が載っている大きな自動車が走る」という文章   「会社」   「の」 かっこまたは単に声をだすだけのことも)   「名前」   「が」 かっこ声を出すだけのことも)   「載る」   「いる」   「大きい」   「自動車」   「が」 かっこ声を出すだけのことも)   「走る」   「自動車」かっこ同時に頷きながらゆびさし、これにより後に修飾語が付くことを示す)   「会社」   「名前」かっこ同時にうなずく、これにより助詞の「が」を表す)   「載る」かっこ同時にほほをふくらませる、これにより「〜している」状態を表す)   「大きい」   「自動車」かっこ同時にうなずく、これにより助詞の「が」を表す)   「走る」。   形容詞や修飾語が名詞の後につく、助詞をゆびさしやうなずきなどを使って表す、などの特徴 ・いつから聴覚を失ったか、聴力がどの程度残っているか、手話を使い始めた年齢によって、コミュニケーション方法が違ってくる スライド4 自己紹介 ・弁護士を目指しはじめたのは中学2年のときから ・母子家庭で育ったので、社会的弱者を助けたいという希望を持っていた。中学2年のときに、聴覚障害を持つ山田裕明弁護士を知って、私も弁護士を目指しはじめた。 ・高校は地元の高等学校に入学して障害のない生徒と一緒に勉強した。大学は東京大学。 ・大学在学中から司法試験を受け始め、千葉市役所に就職した後も受験を続けて8回目で合格した。 ・「1998年」から東京弁護士会に登録 ・東京都新宿区の都民総合法律事務所に在籍。所属弁護士は6名。全員パートナー(共同経営)。障害があるのは私一人だけ。事務員3名、手話通訳者1名。 スライド5 手話通訳者 ・裁判では手話通訳者をとおして主張活動。   裁判所では私の手話を通訳者が読み取って声で裁判に内容を伝える。   裁判官や他の弁護士からの話しは、手話通訳者が聞いてこれを手話で私に伝えてくれる。   裁判手続が1時間以上になりそうなときは、2名の手話通訳者   依頼者のうち、聴覚に障害のある方は3割であり、残りの7割は障害のないかた。障害のないかたとは、手話通訳者をとおして打合せ。 ・基本的には手話通訳者がいる場合は裁判の進行に支障はない。手話通訳者がいると裁判官も話しのスピードをある程度抑えていたりするなどして配慮はある。 ・ただ、声が小さくて手話通訳者が聞き取れないことがたまにある。裁判官に要望して、裁判官または相手方に声を大きくして発言しなおしてもらったりしている。 スライド1 自己紹介かっこ(久保) 両耳重度感音性難聴(「しんこう性」/現在は両耳とも100dB超)  もともとはちょうしゃ  高校生のころ、鈴虫のおとが聞こえないことで難聴に気づく  20歳ころより難聴が徐々に進行  早稲田大学在学中 医師「将来、完全に聞こえなくなるかも」  聴覚障害の弁護士の存在を知り、法曹を志す 2006年 司法修習(旧60期) 2007年 弁護士登録(東京弁護士会) 2020年から 日弁連障害者差別禁止法制特別部会委員 スライド2 感音性難聴の聞こえかた おとは聞こえるけど、聞き取れない 聞き取れたり聞き取れなかったり・・・ ・子音の判別が困難 ・おとが歪んで聞こえる ・口の動き、母音、文脈やシチュエーションから推測しながら聞きわける スライド3 弁護士業務 ・面談や法廷での訴訟活動 ・補ちょう援助機器 ・音声認識アプリ スライド右側上段には、補聴器、音声認識アプリを起動したスマートフォン、ロジャーセレクトという、補ちょう援助システムで円形の卓上マイクの写真、そのしたには、ロジャーペンという、補ちょう援助システムでペン型のマイクの写真が映っている。 これらの機器がなかった頃 ・裁判官の目の前まで行く ・他の弁護士を専属に ・同僚や事務局の同席と筆談 スライド4 音声認識 ・Google、Apple、Microsoft、アドバンストメディアなどの音声認識エンジン ・UDトーク、Wordのディクテーション、ワイワイプローブなどのアプリ、ソフトウェア ・音声データ、認識データを提供側に収集・保存されないものを利用(有料版) スライド5 困難・やりにくさを感じる場面 ・電話による交渉  電話会議システム+事務局 ・尋問手続き  音声認識アプリ+修正担当者(事務局)2名  通信状況が悪いと認識が遅い  早口の場合、修正が追いつかないこともある